大会長挨拶

第55回日本理学療法学術研修大会
大会長  河野 礼治

【ごあいさつ】
 第55回日本理学療法学術研修大会では、「100年ライフへの対応」、「はたらくを目標とした理学療法の構築」、「臨床理学療法の確立」を主目標に考え、平均年齢33歳の日本理学療法士協会会員達が求める研修大会を目指しています。
 現在、わが国では「人生100年時代」を迎えており、個人のライフスタイルや働き方にも変化が訪れています。このような時代の中では、対象者の方々だけでなく我々理学療法士も含めて、「変化」への柔軟な対応力が、特に重要な資産となると考えられます。そこで、100年ライフを健康で過ごせるために必要な知識技術を学べる内容を企画しています。
 次に、この100年ライフの中で、我々は「理学療法士」という職種としてだけでなく、個人においても、社会から分析・評価され、「選択される」時代となってきています。我々は、ただ「立てる、歩ける」という事を目標にするのではなく、対象者の方々の家庭や地域での役割、就労など「はたらく」という目標達成に向けて理学療法を提供していくことが、重要と考えます。したがって、様々な意味をもった「はたらく」という事を目標とした理学療法を構築できるような研修内容を企画しています。
 最後に、臨床理学療法を考える時に、これまで盛んに研修が行われてきたSPDCA cycleだけでなく、OODA loopにも着目して臨床理学療法の向上を目指すことを企画しています。臨床理学療法においては、SPDCA cycleに基づく評価から計画立案し治療を実践する基本的な部分を学び、OODA loopのように、治療中における対象者の反応から理学療法を刻一刻と変化させるプロセスが必要となります。思考と直感、計画と臨機応変さといった、これら相反すると思われる事象を共存させることにより、理学療法士の臨床力はさらに向上すると考えます。つまり理学療法プロセスにおいてはSPDCA cycleとOODA loopが共存しているため、これらを考慮した研修内容を企画しています。
 若い世代にとって意欲的かつ魅力的な研修を企画し、時代の変化に柔軟に対応できる人材の育成と、成果の出せる臨床理学療法の確立を目指すとともに、全国の理学療法士が一同に介し、共に学び研鑽し合いながら、それぞれが自己の役割と向き合い、「理学療法」を社会へと発信していく機会となることを目指します。事前学習の企画や大分県を特徴とする障がい者を含む地域共生社会の視察、さらには地域包括ケアシステムと理学療法士の関わりも企画しておりますので、ご参加の程よろしくお願い申し上げます。


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